「今年こそ、何か始めたいな」
年が変わると、毎年のように思う。
それは、人生を大きく変えたいという決意ではないことが多い。
資格取得や転職の話でもない。
ただ、忙しい日々の中で、少しだけ自分のために使える時間を取り戻したくなる。
そんな、ささやかな気持ちだ。
年初という節目は、不思議な力を持っている。
普段なら見過ごしてしまう小さな願いを、「今ならいいかもしれない」と思わせてくれる。
そんなタイミングで、改めて注目されているのが、「大人の習い事」だ。
最近では、40代・50代から新しい学びに踏み出す人も珍しくない。
「大人の学び直し」という言葉も、すっかり耳に馴染んできた。
今回は、今人気の「大人の習い事」を男女別に紹介しながら、
「なぜ続かないのか」「どうすれば挫折しないのか」といった、少し現実的な話にも触れていく。
読み終えたとき、
「まあ、やってみてもいいかもしれないな」
そんなふうに、気持ちが少し軽くなっていたらうれしい。
【男性編】40代・50代に人気の大人の習い事 TOP10
(『月刊SLEO』調べ)
1位:英会話・語学学習
仕事で必要に迫られて始める人もいれば、
「海外ドラマを字幕なしで見てみたい」
「旅行先で、ほんの一言でも会話ができたら」
そんな軽やかな動機の人も多い。
最近はオンライン英会話が主流で、通学の手間がないぶん、思っているより始めやすい。
言葉が少し通じるだけで、世界が一段近づいたように感じられる。
語学の魅力は、案外そこにあるのかもしれない。
2位:筋トレ・パーソナルトレーニング
健康診断の数値や、体力の衰え。
「まあ、年齢的に仕方ないか」と思いつつ、どこかで気になっている人は多い。
筋トレは、やった分だけ体が応えてくれる。
数字や体感として結果が返ってくるから、達成感を得やすいのも続きやすさの理由だ。
体を整えると、気持ちも不思議と整ってくる。
そんな実感を持つ人も少なくない。
3位:ゴルフ
「仕事の付き合いで始めたはずが、気づけば休日の楽しみになっていた」
そんな話を、よく耳にする。
年齢を問わず続けられ、人との縁が自然に広がっていくのも、ゴルフならでは。
4位:料理教室
自炊力を高めたい独身男性だけでなく、
「家族に何か作ってあげたい」
「外食を少し減らしたい」
そんな、現実的な理由から始める人も多い。
料理ができるようになると、生活そのものが、少しだけ整ったように感じられる。
5位:楽器(ギター・ピアノなど)
若い頃に憧れて、「いつかやろう」と思ったまま時間が過ぎてしまった楽器。
今だからこそ、上達よりも「音を出す時間」を楽しめる。
そんな声もよく聞く。
6位:カメラ・写真
スマホではなく、あえてカメラを持って出かける。
それだけで、いつもの散歩や通勤路が少し違って見える。
シャッターを切るために立ち止まる。
そのひと手間が、日常の景色を特別なものに変えてくれる。
気づけば、外に出る理由が増えている。
写真は、そんな静かな変化を連れてきてくれる習い事だ。
7位:プログラミング・ITスキル
副業、教養、仕事の効率化。
始める理由は人それぞれだが、「学んだことが、すぐ使える」という実感が続ける力になる。
最初は難しく感じても、できなかったことが一つずつできるようになる感覚──。
これは、大人になってからでもきちんと楽しい。
8位:ランニング・マラソン
特別な道具はいらない。
思い立ったその日から始められる。
走った距離や時間が数字で残るから、「今日はここまで」と区切りをつけやすいのも魅力だ。
誰かと比べなくていい。
昨日の自分と、少しだけ比べればいい。
9位:書道・ペン字
字を書く時間は、思っている以上に心を静かにしてくれる。
一画一画に集中しているうちに、頭の中のざわつきが自然と落ち着いていく。
字が整うと、不思議と所作まで丁寧になる。
そんな変化を感じる人も多い。
10位:ワイン・コーヒー講座
知識が少し増えるだけで、いつもの一杯がグッと味わい深くなる。
難しく学ぶ必要はない。
「知る楽しさ」を味わうだけで十分だ。
【女性編】40代・50代に人気の大人の習い事 TOP10
(『月刊SLEO』調べ)
1位:ヨガ・ピラティス
体調管理とメンタルケアを同時に整えられる。
この年代になると、そのありがたみを実感する人は多い。
無理をしない動きだからこそ、長く続けられる。
続けるうちに、「調子がいい日」が少しずつ増えていく。
2位:料理・お菓子作り
生活に直結し、誰かの役に立っている実感を得やすい習い事。
オンライン講座も増え、思っているより気軽に始められるようになった。
「作る時間」そのものが、気分転換になることもある。
3位:英会話・語学学習
海外旅行、推し活、趣味の延長。
学ぶ理由は、本当にさまざまだ。
目的がはっきりしている分、楽しみながら続けやすいのも特徴だ。
4位:ハンドメイド・クラフト
黙々と手を動かす時間は、最高のリフレッシュになる。
完成したときの達成感は、小さいけれど確かなものだ。
5位:ダンス・バレエ
子どもの頃に一度は憧れたことがある人も多い。
姿勢が整い、体を動かす楽しさを思い出す。
今だからこそ、無理なく向き合える。
6位:フラワーアレンジメント
部屋に花があるだけで、空気が少し変わる。
季節を意識することで、暮らしのリズムも自然と整っていく。
7位:書道・ペン字
一生使える技術として、根強い人気がある。
文字を書く時間が、自分と向き合う静かな時間になる。
8位:カメラ・スマホ写真
日常の一瞬を「作品」として残せる。
SNSとの相性も良く、楽しみが自然と広がっていく。
9位:資格・教養講座
将来への不安を、少しだけ軽くしてくれる学び。
大きな目標でなくてもいい。
「選択肢が増える」という感覚が、大切なのだ。
10位:心理学・自己理解系
自分を知ることで、人との距離感が少し楽になる。
年齢を重ねた今だからこそ、すっと心に入ってくる分野だ。
ちなみに、女性9位の「資格・教養講座」の具体例は次のとおり。
実用系(生活・仕事に活かしやすい)
医療事務・調剤薬局事務
登録販売者
簿記(3級・2級)
ファイナンシャルプランナー(FP3級)
MOS(Word・Excelなど)
教養・ライフデザイン系
心理学基礎講座
コーチング・カウンセリング入門
終活アドバイザー
キャリアデザイン講座
ライフプラン設計講座
語学・文化系(資格寄り)
日本語教師養成講座
児童英語講師講座
伝統文化(和文化検定、茶道・華道関連)
このように、資格や教養講座といっても難しい国家資格ばかりではない。
医療事務やFP3級、心理学の基礎講座など、「今の生活を少し安心させてくれる学び」が中心だ。
将来のためというより、自分の選択肢を増やすために学ぶ人が多いように思う。
「始められない理由」があるのは、当たり前
「忙しくて時間がない」
「続くか分からない」
「今さら始めても遅い気がする」
「お金をかける価値があるのか不安」
どれも、ごく自然な気持ちだと思う。
むしろ、そう考えられるようになったからこそ、大人になったとも言える。
「大人の習い事」は最初から頑張らない前提でいい。
大人になってから学ぶ意味 |習い事が人生にもたらす変化
大人になってからの学びは、競争ではない。
評価も、順位もない。
あるのは、
「昨日より、ほんの少し違う自分」
それだけだ。
新しいことを始めると、日常に静かな張り合いが生まれる。
そして、気づかないうちに自分への信頼が少しずつ積み重なっていく。
それは、劇的な変化ではないかもしれない。
けれど確実に、人生の質を底上げしてくれる。
大人の習い事が続かない理由 |挫折しないための5つのコツ
「やる気はあるのに、なぜか続かない」
大人の習い事について話すと、よく聞く言葉だ。
でも、続かなかったからといって、それは意志が弱いからでも、根性が足りないからでもない。
多くの場合、最初の始め方が、ほんの少しだけ頑張りすぎている。
それだけのことなのだ。
なぜ、大人の習い事は続かないのか。
理由は、だいたい次の4つに集約される。
・最初から完璧を目指してしまう
・時間とお金をかけすぎる
・成果を急いでしまう
・気づけば「やりたい」より「やらなきゃ」になっている
どれも、真面目な人ほど陥りやすい。
だからこそ、続けるために必要なのは最初から力を抜いておくことだ。
それらを踏まえた上で、意識したいのが次の5つのコツ。
コツ① 最初は「少なすぎる」くらいでいい
週1回でいい。
いや、月2回、隔週でも十分だ。
最初から習慣にしようとしなくていい。
「続いたら、少し増やす」
「しんどくなったら、減らす」
そのくらいの余白があるほうが、長く続く。
コツ② お金をかけすぎない
高額な教材や、長期契約。
それ自体が悪いわけではない。
ただ、「元を取らなきゃ」という気持ちは、思っている以上に心を縛る。
「やめてもいい」と思える金額。
実は、それが一番続きやすいラインだったりする。
コツ③ 成果を目的にしない
上達しなくてもいい。
誰かに見せなくてもいい。
大事なのは、その時間が、少しでも楽しいかどうか。
「できるようになること」より「やっている時間」を基準にしてみる。
コツ④ 人と比べない
大人の習い事に順位はない。
競争でもない。
SNSに流れてくる誰かの成果は、「参考」くらいでちょうどいい。
比べるなら、昨日の自分と、ほんの少しだけ。
コツ⑤ 最初から「やめる選択肢」を持っておく
「やめてもいい」と思えると、不思議なことに気持ちが楽になる。
それは逃げではない。
自分を甘やかしているわけでもない。
今の自分を大切にするための、ちゃんとした選択だ。
続けるコツは、とにかく頑張らないこと。
大人の習い事は、人生を劇的に変えるためのものではない。
日々を、ほんの少し心地よくするためのものだ。
自分に優しい設計で始める。
それさえ守れれば、「続けること」は、思っているよりずっと簡単になる。
まとめ|年初に大人の習い事を始める理由
年初は、何かを始めるための最高の言い訳になる。
体験レッスンに申し込む。
「きっかけはYouTube!」と、動画を一本見てみる。
気になる教室を、ただ調べてみる。
それだけでも、十分だ。
その小さな一歩が、一年後の自分を少しだけ誇らしくしてくれるかもしれない。
大人の習い事は、義務ではない。
自分に許す、ささやかな贅沢だ。
今年はぜひ、自分のための学びを始めてみてほしい。
(飯田)
